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Agriculture and Farming
バイオ分野
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説明記事A:豚における遺伝子診断
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(1)純粋黒豚であるかどうかの遺伝子診断
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 わが国で"黒豚"と呼ばれる豚は、その両親がバークシャー種とされています。バークシャー種は黒色で、鼻部、尾部、四肢先端が白色です。
 このような外観を次世代へと伝えているのは毛の色を決める遺伝子と色素細胞の広がりを決める遺伝子です。このような遺伝子は複数あると考えられますが、当該遺伝子診断では毛色に関連する遺伝子の1つであるMC1Rと毛根細胞の広がりに関連するKIT遺伝子の型が、バークシャー種特有の型と一致しているかどうかを測定し、黒豚かどうかの遺伝子診断としています。診断結果を記載した書面は依頼者に発行されます。
 また、毛根細胞の拡がりに関係すると考えられるKIT遺伝子のイントロン部分には、西洋のバークシャーやアジアの黒豚に見られる塩基配列型が見られることから、この型を来歴診断として用いています。現在の日本のバークシャー種には種々の配列型が見られることから、西洋型の配列が見られたからと言って、国産ではないとは言い切れません。西洋型の配列が残るような来歴を持っている、ということです。

【参考文献】
 ・DNA配列多型による豚の品種識別法(日本国 特許 第3116049号 2000)


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(2)筋肉中脂肪蓄積能力の診断
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 食肉にある程度の脂肪が含まれていることは味の点で重要です。食肉に脂肪がほとんど含まれていない場合、「豊かな味」と感じることができません。
 豚肉においても、ある程度の脂肪が含まれていることが食品としては重要です。豚肉の脂肪すなわち豚の筋肉中脂肪の蓄積能力も遺伝的に決まっています。そのような遺伝的素質に有意に関連するTubby(タビー)遺伝子の型が脂肪蓄積型かそうでないかを診断しています。
 特に、三元交雑におけるトメ雄であるデユロック種が、脂肪蓄積型遺伝子を保有しているかどうか知ることが良質豚肉の安定生産に有用と考えられます。また、ランドレース種や大ヨークシャー種もTubby遺伝子にバリエーションを持っていますので、当該遺伝子の型を知ることは美味しい豚肉を生産できる養豚経営に有用と考えられます。

【参考文献】
 ・遺伝情報によりブタ筋肉中脂肪蓄積能力を評価する方法
  (日本国 特許 第4776037号 2011)

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(3)インフルエンザウイルス抵抗性遺伝子の診断
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 インフルエンザウイルスの細胞内増加の抑制に関連する遺伝子として、Mx1遺伝子が知られています。どのようにしてウイルスの増加を抑制するのかその詳細な機序は明らかにされていませんが、Mx1遺伝子から作られるMx1タンパク質はインフルエンザウイルスの増加を抑えます。故にMx1遺伝子はインフルエンザ抵抗性遺伝子とも呼ばれています。

 しかし、ブタの中にはMx1遺伝子のエクソン部分に11個のDNA(塩基)の欠損を持っている個体がいます。3つの塩基が欠損しているMx1遺伝子を持つ個体もいます。
 培養細胞を用いた実験では、正常型や3塩基欠損型はインフルエンザウイルスの増加を抑制しました。一方、11塩基の欠損を持つMx1遺伝子は、インフルエンザウイルスの増加を抑えることができませんでした。

 ブタにおいて、個体レベルでのインフルエンザウイルスの感染試験が行われたという情報はこれまで見ておりませんが、細胞内でインフルエンザウイルスの増加を許してしまうような欠損型Mx1遺伝子を持つブタは、個体レベルでもインフルエンザウイルスを増加させると考えられます。そのようなブタは、体内に高レベルのインフルエンザウイルスを長時間保有することになり、他のブタへもそしてヒトにもインフルエンザウイルスを感染させる可能性を高めると考えられます。また、インフルエンザウイルスが体内に長時間留まり増加すれば、種類の異なるインフルエンザウイルスのRNAを持つ変異ウイルス出現の可能性を高めると考えられます。

 ブタには、未知のものも含め、インフルエンザウイルスの増加を抑える他の機構も当然備わっているでしょう。しかし、少なくともインフルエンザ抵抗性遺伝子Mx1については遺伝子診断を行い、11塩基欠損型を持たないよう、正常型Mx1遺伝子を持っているブタを飼養することが病気のリスクを低減すると考えられます。

【参考文献】
 ・E.Nakajima, T.Morozumi, K.Tsukamoto, T.Watanabe, G.Plastow and T.Mitsuhashi,   A Naturally Occurring Variant of Porcine Mx1 Associated with Increased Susceptibility   to Influenza Virus in Vitro. Biochemical Genetics, 45(1-2):11-24, 2007.  ・Methods for Determining Genetic Resistance of Pigs to RNA Virus Diseases
 (ブタについてRNAウイルス由来の疾病に対する遺伝的抵抗性を知る方法)
  ・オーストラリア 特許 (No. 2003275705) 2007.

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(4)ブタストレス症候群の遺伝子診断
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リアノジン受容体1(RYR1)遺伝子の1843番目の塩基に点突然変異を持つ場合、豚ストレス症候群を呈し、むれ肉が発生しやすくなります。特にオスとメスの両親それぞれがRYR1遺伝子の正常型と点突然変異型を同時に持っている場合(ヘテロで持っている場合)、外見からでは分からないのですが、生まれる子豚の4分の1は点突然変異型を2つ所有(ホモで所有)し、むれ肉を発生します。

 外見からは分からないこの遺伝子の変異を検査することにより、正常であるか、むれ肉になり易い素質を持っているかどうかを診断します。

CC型: 正常型遺伝子のみを持つため、当該遺伝子の異常によるむれ肉の発生はない。
CT型: 正常型遺伝子と変異型遺伝子を持っており、むれ肉になる可能性があります。1/2の確率で子孫に変異型遺伝子を伝えます。
TT型: 変異型遺伝子のみを持つため、全ての子孫に変異型遺伝子を伝えます。
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